無職と将太の寿司

半年間の休職を経て、会社に復帰してしばらく経った。
つっきー 2022.10.11
誰でも

メルマガを放置しすぎて……というか、「書かなきゃな〜」という気すら起こらなかった程度には怠惰に過ごしていた。

平日昼間のかっぱ寿司に行き、カウンター席でKindle読み放題の「将太の寿司」を読みながら100円寿司を喰らうような生活である。将太がせっかくライバルの笹寿司に立ち向かって頑張っているのに、無職に回転寿司の炙りトロサーモンを頬張りながら読まれたんじゃあ報われないというものだ。

そんな何の生産性もない半年間を記録したらそれはそれで面白かったのだろうけど、そこまでの元気は起こらず、ただ寝て起きてたまに将太の寿司、といった日々がしばらく続いた。半年間の記憶はかなり薄い。内容も薄かったのだから当然である。

それでも人にはいわゆる「レジリエンス」というものがあり、家族の励ましもあって半年の虚無ののち少しずつ元気になっていった。休職中のことは思い出して来次第また書こうと思う。書こうと思える程度には元気が出てきたのが嬉しい。

SNSもメルマガなどで文章を書くのも、もう辞めようかなと思っていたのだった。自分の考えていることを書いて世に見せて、いろいろ言われたり言われなかったりするのを気に病むのが嫌になっていたのである。自分から心の内を晒して他人の目につくように置いておいたうえで勝手に傷ついたりして、ひとりずもうにも程がある、と。

だけど半年以上なにも書かずにいると、自分のなかの何かしらの器官が退化していく感覚があった。かたつむりの目が引っ込んだまま消えていくような。おたまじゃくしのしっぽが無くなるような。このままだと戻ってこなくなるかも、という寂しさが湧いてきた。

文章を書くことによってしか潤えない部分というのがあるのだろう。人間というのは不思議だ。

ということでもはや誰も待っていないであろうメルマガの管理画面を掘り起こし、頼まれてもいないが文章を書き、手紙を海に流す的な気持ちで配信しようと思う。引き続きバリキャリは諦めているので、そんな感じの内容である。

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